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JAPAN FUR ASSOCIATION 一般社団法人 日本毛皮協会 公式サイト

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JFAファーデザインコンテスト2011最終審査会・表彰式レポート

「JFAファーデザインコンテスト2011」の受賞作品と受賞者

「ウェア部門」に加え「ファッション雑貨部門」を新設

人類史上最古の服といわれる毛皮。この天然素材を通してファッションをより活力のあるものにすることを目的に実施している「JFA ファーデザインコンテスト」は、今年で10回目を迎えた。応募総数は2001点。服飾専門学校や大学だけでなく、今年は2つの高等学校からも学校単位での応募があり、これまでにも増して裾野が広がった格好だ。今回あらたなチャレンジとして「ファッション雑貨部門」が設けられ、入賞した9作品は会場ロビーに展示。帽子、アクセサリー、靴など自由な発想によるこれらの作品は、毛皮という素材のさらなる可能性の広がりを予見させる。デザイン画による一次審査で選ばれた「ウェア部門」20作品は、デザイナーとJFA加盟各社の協力によって製作され、この日開催されるファッションショー形式の最終審査で初披露される。拍手に包まれ、スポットライトが輝く華やかなファッションショーではあるが、ステージ正面では審査員の厳しい目が光り、ある種の緊張感をもってショーは進行していく。

グランプリを受賞した青野圭佑さん(右)

テーマは「美触感~ふわふわファー~」、応募総数2153点の激戦

すべての作品が披露されてショーが終了、舞台上で「第7回ファー・オブ・ザ・イヤー」の表彰式が行われた。今年の受賞者は女優の上戸彩さん。毛皮をまとい大人の雰囲気を醸し出す上戸さんが登場すると、ようやく会場はコンテストの緊張から解放されたようだ。そのころ舞台裏では審査員たちによる最終選考が行われていた。今回のコンテストでは「地球に優しい毛皮のある生活」をテーマに作品を募集。最終審査に残った作品はいずれもテーマどおりの見事な作品で、甲乙付けがたいレベルの高さ。今年から審査委員の顔ぶれは変わったものの、審査の難しさは例年同様だ。ファーデザインコンテスト2011でグランプリに輝いた伊藤裕也さんの作品が2011年3月の世界大会で銅メダルを獲得したことからも、このコンテストのレベル高さが伺える。混戦の末、2011年の受賞者は右欄の通り決定。結果発表では受賞者たちの笑顔と歓びの涙が、大いに会場を沸かせてくれた。

会場で審査に当たる審査委員の皆さん

審査員評

関本美弥子

百貨店のファッションディレクターという立場からみると、どんなに良い商品でもお客様から評価されないと意味がないと思っています。そういった意味で、今回は全体的にクリエイティビティとビジネスポテンシャルの両方を兼ね備えた作品が多く、審査するのが楽しくもあり大変でもありました。

小野原誠

受賞者の方の挨拶に感動。「もう少しこうしたら…」という部分もあったのですが、みなさんの努力が作品から伝わってきて、ネガティブな意見が吹っ飛んでしまいました。こういう経験一つひとつの積み重ねが将来の皆さんの糧になると思うので、これからも頑張ってください。

JACKAL KUZU

すべての作品のレベルが高く僅差の勝負でしたし、受賞されなかった人たちも悲観しなくてもいいと思います。ただ、結果は結果。自分の作品と壇上に並んでいる作品とのほんの少しの差が何なのか、もう一回考え直して、今後の作品づくりに生かして、さらに高いレベルを目指してほしいです。

CABARET AKI

受賞した作品としなかった作品の差は僅差ですが、その中で何が一番違うかというとシルエットだと思う。デザイン画ではウェストがキュっとしぼられているのに、毛足の長いファーを使ったりするとウェストがもったりしてしまったり。賞を取られた作品は逆にファーならではのボリューム感がよかった。本当にちょっとした違いなんです。

真木喜久子

長年デザイナーをやっていますが、今日はファーだけれども新しいものを見せてもらえました。ファーというのは動物であって、ずっと変わらない素材なのですが、今日選ばれた方のシルエットが今に通じるのだと思いました。シルエットと素材を上手く使っていくということが今後の新しいファーにつながるのではないでしょうか。

大塚陽子(総評)

私は長年この審査に携わっておりますが、今回は新たに「いかに売れる毛皮を選ぶか」という大きなポイントが審査基準に加わりました。「売れる」ということは、見たときに魅力的な毛皮、作品ということで、審査ではクリエイティビティとともにその点を重要視しました。ほかのコンテストと違うのは、デザイナーと協力企業とがいかに話し合いをして作品にしていくかというところです。シルエットや毛皮の使い方、ちょっとしたところに、「うまく話し合いができているな」という作品と、「もう少しお互いに歩み寄ったり、話し合いを続けていれば、もっと違う作品になったのに残念だな」という作品とがあり、それが結果になって現れてきたと思います。このようにほかの方と協力し合いながら服づくりをするという機会はあまりないと思うので、今回受賞した方も、残念ながら賞を逃した方も、この経験を生かして今後も素晴らしい作品を生み出せるように頑張ってほしいと思います。/p>

◇最終審査会・表彰式

2011年11月17日(木)13:00~15:00 東京・東銀座 時事通信ホール

◇主催

一般社団法人 日本毛皮協会(JFA)

◇後援

経済産業省

◇協力

アメリカン・レジェンド、サガ・ファー、国際毛皮連盟、香港毛皮業協会、東京ファッションデザイナー協議会、東京毛皮商工業協同組合

◇各賞受賞者

●グランプリ:青野 圭佑 (東京モード学園) 
賞状、賞金50万円、副賞(デンマーク「サガ・デザイン・センター(SDC)」への研修旅行)

●準グランプリ:崔 知永 (大阪モード学園) 
賞状、賞金20万円、副賞(デンマーク「サガ・デザイン・センター(SDC)」への研修旅行)

●アメリカン・レジェンド賞:竹中 ちひろ (大阪モード学園)
 賞状、賞金10万円

●サガ賞:村上 文子 (上田安子服飾専門学校) 
 賞状、賞金10万円

●HKFF賞:森兼 香織 (中部ファッション専門学校)
 賞状、賞金5万円及び香港インターナショナルファー&ファッションフェア招待

●JFA賞:古川 綾乃 (北海道文化服装専門学校)
 賞状、賞品

●ファッション雑貨:
 熊谷 美衣子(杉野服飾大学)
 加藤 杏菜(東京モード学園)
 宮澤 廣亨(東京モード学園)
 松本 美麗(東京モード学園)
 黒木 千里(東京モード学園)
 比屋定 唯(琉球大学)
 中島 優衣(岐阜県立大垣桜高等学校)
 水上 佳代(一般)
 岡村 あおい(専門学校ファッションカレッジ桜丘)
賞状、賞金5万円

◇審査委員

真木喜久子、CABARET AKI、JACKAL KUZU、小野原誠、関本美弥子、大塚陽子 ※順不同・敬称略