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JAPAN FUR ASSOCIATION 一般社団法人 日本毛皮協会 公式サイト

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Q&A

地球環境と毛皮の活用について

Q1毛皮の活用は地球環境に影響を及ぼすでしょうか
現代に生きる私たちが、子孫に「より良く豊かに暮らせる地球」を残すために必要なことのひとつに、「動植物の絶滅の危機」を回避することがあります。「ワシントン条約」により、絶滅のおそれのある野生動植物の種は、厳しい取り締まりにより保護されています。
地球環境を守るためには、生態系のバランスを保つことが重要です。そのためには人間の英知による管理(=間引き)が必要です。地球上のすべての動植物は食物連鎖の形でバランスをとっているので、ひとつの種が増えすぎればバランスが崩れます。そのためには野生生物を適正に捕獲し、自然の恩恵として上手に活用することが必要になります。それこそが「自然資源の保持・持続可能な有効利用」になると考えています。
天然資源を枯渇させないという観点から、養殖技術が生み出されました。毛皮養殖は気候条件の厳しい北欧や東欧などの地域に適した重要な産業のひとつになっています。養殖では、本来なら捨ててしまう肉や魚の動物副産物や、食品加工から出る残り物を効果的に使用することで、食品リサイクルを支えています。排出物は有機的な肥料として利用され、ミンクは皮革製品の手入れ、スキンケア・ヘアケア用の上質なオイルやバイオ燃料を供給しています。また毛皮製品になったあとも、サイズ直しやリフォームなどで、無駄なく最後まで使い切ることができるのが毛皮なのです。
Q2毛皮のために動物を捕獲することで生態系バランスが崩れませんか
Q1でお答えしたように、地球上のすべての動植物は食物連鎖の形でバランスを保っているので、ひとつの種が増えすぎれば、そのまわりにいるすべての種が多大な影響を受けることになります。例えば最近、鹿や猪が異常に繁殖して、農作物を食い荒らすなどという報道が目立ちます。異常気象、自然の破壊、野生動物との緩衝帯である里山の消滅などにより、動物たちは自分たちの生息地のエサを食べ尽したり、病気で絶滅したりしています。クマなど、種によっては人間や家畜を襲うものすらでてきました。適正に捕獲された野生動物を、自然の恩恵として上手に活用することが「自然資源の保持・持続可能な有効利用」となります。増殖しすぎて人間社会に悪影響を及ぼしている鹿や狸などは、鳥獣保護法の範囲内で駆除され、その毛皮も利用されています。
Q3地球環境に対して日本毛皮協会はどう考えいますか
人類史上最古の服といわれる毛皮は、まさに自然が人類に与えてくれた贈り物です。保温性、耐久性に優れリメイクも可能で無駄なく活用でき、最後には土に還すことができる天然素材です。冬の寒さに対しては、毛皮を着用・使用することでエネルギー消費の削減にも役立ちます。持続可能な有効利用を実現することで、子孫に「きれいで豊かな地球」を残すことができると考えています。
Q4 毛皮の生産者は地球上のあらゆる動物の毛皮を原料としているのですか
絶滅のおそれのある野生動物は、国際間の取り決めである「ワシントン条約」や国内法「種の保存法」によって守られています。そのため、これらの種が国内で販売されることはありませんし、おみやげ物として海外から持ち込むことも許されていません。
(ただし、この条約が適用される前に国内に輸入されたものは、その旨の証明書があれば、販売は可能です)
Q5毛皮製品として使えないところは捨てられてしまうのですか
毛皮の活用にあたっては、無駄に使うことはなく、捨てるところはないと言っても過言ではありません。小さなパーツは、はぎ合わせて布状の毛皮の生地(毛皮用語では「プレート」と呼びます)に仕立て直します。また、尾の部分などもキーホルダーやアクセサリー等に加工し活用されます。
製品になっても、同じ種類の皮を継ぎ足したり、他の素材を加えたりするサイズ直しのリフォームをはじめ、コートをストールやバッグなど全く別のアイテムに仕上げることもできます。「無駄なく使い切ること」ができるのが毛皮です。
また、うさぎのように食用が主である場合、毛皮は天然資源としての副産物であり、捨てずに、衣料その他に使います。牛や豚、鳥と同じで、毛皮と呼ばれるか革と呼ばれるかの違いです。
狐やミンクは脂が強く、臭いがきついので食用としての利用にはほぼ至っていませんが、ミンクの肉は狐の食用となり、ミンクの脂は石鹸などに利用されています。

動物をめぐる問題

Q6毛皮のための養殖は認められているのですか
人間は、天然資源を枯渇させないために、自然の産物を人工的に生産する方法を生み出しました。それが養殖技術です。いまでは、家畜の牛や豚、生簀(いけす)で養殖されているハマチやウナギなど、多くのものが人の手によって生み出されています。毛皮の養殖もそのひとつです。
現在の世界人口は73 億人ですが、2050 年に90 億人になると想定すると、食料やそのほかの資源が不足してくると考えられます。その場合、動物の養殖、植物栽培を増やすこと、海洋生物のさらなる利用が必要となることでしょう。
また、毛皮養殖は、北欧や東欧など気候条件の厳しい地域に適した重要な産業となっています。養殖にあたっては、動物福祉を最優先し、国際・国内・地方などの法律を遵守しています。特にヨーロッパや北米などでは、毛皮養殖に限らず、食用動物の飼育でも動物福祉という考えが確立しており、檻の広さを守ったり、動物の習性に沿った飼育環境を整える義務があります。中国でも政府は欧米の基準での飼育を約束していますが、残念ながら徹底されているとは言えません。しかし確実に動物福祉の考え方は世界的に広まりつつあります。
Q7動物の権利と解放について、日本毛皮協会はどのような立場を取っていますか
すべての動物が人間とまったく同じ権利を持つというのが、動物権利団体の主張です。人も犬もネズミも豚も同じ権利を持っているということです。 一方、動物解放団体は、すべての動物は解放されねばならないと主張します。牛や豚、鶏を小屋に入れて飼うのはもちろんのこと、水族館や動物園の動物も、ペットとしての犬や猫を飼うことも虐待とみなします。これらの団体がファストフードチェーンのお店をおそったり、大学や研究所の貴重なデータを破壊したり、獣医学部長を襲撃したことがありました。ミンクやフォックスの農場に押し入って、養殖動物を逃したりするのも彼らです。
野生動物が農作物を荒らしたり、人間を襲っても、それでもかわいそうだといって黙って見過ごせるでしょうか。動物愛護を主張し、食べ盛りの子供に肉やミルクを与えず、錠剤や化学合成物質だけで育てられるでしょうか。当協会は、真の動物愛護とは、人間が地球の環境を守りつつ、動物と共存していくことだと考えております。
Q8毛皮用の動物の飼育環境は良好でしょうか
毛皮動物を養殖する場合、一番重要なのは、動物がストレスを感じない環境でどれだけ育てられたかということです。つまり、その動物が本来野生の時に持っていたであろう習慣や環境と著しく異ならないこと、エサを正しく調理して与えることなどです。それらが守られていれば、毛質は良くなります。ストレスが少ない環境で育てられるので動物が暴れることもなく、毛が擦れて傷むこともありません。
動物福祉の観点からも、世界の毛皮業者は飼育環境の改善に努めており、今後もさらなる改善を続けてまいります。当協会に限らず、多くの世界の毛皮協会は「国際毛皮連盟」(IFF)に加盟しています。「国際毛皮連盟」では、積極的に動物福祉の向上のために、多くの研究費を費やしています。その結果を受け、より良い動物福祉を常に目指し、当協会を含めた各国の毛皮協会に指導を行うなど、私たちも努力しております。

毛皮に対する多様な意見について

Q9人間が他の動物を犠牲にしてもいいのでしょうか
人間は、他の動植物の犠牲なくして生きることができません。大切なのは「生命あるものを犠牲にしている」という点を忘れないことです。生産者にとっても、またそれを使用する立場の人にとっても、「無駄なく使う」「大切に扱う」といった心があってはじめて許されるのだといえます。人間も他の動物と平等であるはずなのに、毛皮を着るのは倫理に反するというご意見もあります。しかし、人間が他の動物と真の意味で平等になるとはどういうことでしょうか。それはすなわち、有史以前の人間に戻ることを意味するのではないでしょうか。つまり「火を使わない」「服を着ない」「人工的な家に住まない」という3 点に集約される暮らしを営むことです。
しかし、このような暮らしは、文明社会に生きる現代人にとって到底不可能です。いかに生活するかは個人の選択であり、多様な価値観の共存を認めることが健全な世界だと考えます。
Q10動物の皮を剝ぐこと自体がかわいそうという意見については
動物を利用しなければ生きていけない「生物としての人間」は、すべてを無駄にせず使い切ることが義務だと考えます。したがって、毛皮も資源として使うべきであると私たちは考えます。例えば毎年のように多数のラビットが食用として殺されますが、その後に残った毛皮は捨てるべきでしょうか? 私たちはそう考えません。そして、人間が利用した動物であればちゃんと葬ってあげるべきですし、多くの飼育業者や漁師は実際そのようにしています。
また、「人間」は生存するために多くの他の「生物」を犠牲にしています。動物のみならず、植物も細菌も同様です。その事実を理解しないで、毛皮にされるごく一部の脊椎動物だけが「かわいそう」であり、「毛皮にすることが残酷」であるという論理は、かなり狭小な考えだと思います。それよりも「生物」も含めた地球資源の乱用により、私たちの子孫が困ることのないように、資源利用の持続性可能性を追求したり、地球環境を守ることを私たちは優先いたします。
Q11毛皮製品を持たないという主義主張には反対ですか
動物権利・愛護の立場から、皮革製品・毛皮(ベルト、靴、バッグ、コート等々)やシルク製品さえも持たない主義の方々がいらっしゃいます。人それぞれ考え方が違うのは当然です。ただ、そうした考え方を他の人に押し付けるのはいかがなものでしょうか。
自分の考え方だけが正しく、ほかの人の主張は一切認めないというのは、あまりにも独善的であるように思います。私たちは人生をどのように生きていくのか、どこに行くのか、何を着るのかを決める時、意思決定の自由を大切にしていきたいと考えます。その観点から、他者の意思決定を制限したり、禁止するよう求める要求には応じることはできません。
Q12毛皮製品を生産することの意義について
毛皮はその温かさと身体を保護するため、石器時代から活用されてきました。ふわふわとした毛皮の感触、その優しい温もりは現代の私たちの心を和ませるヒーリング(癒やし)効果があります。超高齢社会を迎えつつある現代社会で、身も心も温めてくれる毛皮の良さはいっそう認められていくでしょう。日々の生活のなかで、毛皮を活用したいと思ってくださる方がいるのなら、その人の「選択の自由・活用の権利」は誰にも奪うことはできないはずです。
また、今日、毛皮取引は農業活動に不向きな地域で生活する多数の人々(原住カナダ人・アラスカ人・ケイジャン系ルイジアナ人、シベリア・ナミビア・アフガンの人々など)の伝統的な生活様式や文化的価値を守ることに役立てられていることも忘れてはなりません。
Q13毛皮は一部の裕福な人だけの贅沢品なのではないですか
過去において、毛皮はある特定の裕福な人しか身に着けられない時代がありました。その時は、富のステイタスシンボルと考えられておりました。しかし、現在は、安価なものから色々な商品が作られ、ファッション衣料としてのみならずアクセサリー、バッグやインテリアにまで毛皮が多様に使われております。これは、毛皮の優しい感触や機能性、風合い、耐久性などが人々に理解されたからだと思います。私たちは、動物の福祉や絶滅の危険性回避を重視しながら、毛皮の良さを後世に伝えていきたいと考えます。
Q14生皮を剥ぐという話について
世界中の毛皮業界が生きたまま動物の皮を剥いでいるという根拠のない話が近年の多くの動物権利活動家のキャンペーンの根拠になっています。しかし、彼らが言う多くのことと同様、これは全く事実に反しています。
信頼できる毛皮養殖農家なら動物の皮を生きたまま剥いだりする者はいませんーそれは違法でまったく非人道的であるだけでなく、そんなことをすれば毛皮を傷め、養殖者個人の安全を危険に晒し、時間もかかるので、費用もかさんでしまいます。
これを見せている動物権利団体の配布するビデオは毛皮業界とは何ら関係がありませんので、国際毛皮連盟 のマーク・オーテンCEOは、それらがどこで制作されたかについて、何か証拠があれば送ってくださるよう皆様にお願いしています。
それは承認できない行為です。国際毛皮連盟の養殖農家は動物の福祉については非常に気を遣っており、可能な限り最高の福祉基準に添って運営できるよう全身全霊を尽くしています。