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JAPAN FUR ASSOCIATION 一般社団法人 日本毛皮協会 公式サイト

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地球環境と毛皮の利用

地球環境と毛皮の活用に関して

自然破壊・温暖化・動植物の絶滅の危機…地球環境の悪化は、一部の天災を除き、ほとんどすべてが、人間の行動によってもたらされています。
ただし、それらは私たちの祖先が、“人間がより良く豊かに暮らせるように”努力した結果であり、人間の文化・文明として我々に伝えられ、今日があります。
現代に生きる私たちが私たちの子孫に“より良く豊かに暮らせる地球”を残すために、できることは何でしょうか?

国家間の取り決めで、努力はしているものの…

最も早く解決に動き出したのが、「動植物の絶滅の危機」を回避する事でした。
現在は、ワシントン条約によりきびしく取り締まられており、密猟等による被害は少なくなってきています。
もっと大きな問題は、自然破壊と温暖化です。これらは、動植物のみならず、人間の存在すらあやうくします。
地球温暖化対策を考える国際会議等で議論が続けられておりますが、平均気温が明らかに上昇し、洪水などの被害が多発している現在を考えると、将来が思いやられます。
解決を難しくしているのは、国家間の問題と個人の問題が複雑に絡み合っているからと推測されます。
すなわち、経済状態の大きく異なる各国が労働問題、人口問題、自国のエネルギー状況を踏まえた上で、コンセンサスを得なければならず、なおかつ、一人一人に、自分自身が持つ各々の価値基準、哲学、平たく言えば、上昇志向をも制限する事と繋がるからかと思います。

地球に最善の暮らしとは?

それでは、地球にとって「最善」の暮らしとは、いかなるものでしょうか?
人間が他の動物と平等になる事、すなわち、有史以前の人間に戻ることだと思います。そうすれば、地球は「きれいで豊か」になれます。
では、人間が他の動物と平等になる事とはどういう事でしょうか?それは、
1.火を使わない事
2.服を着ない事
3.人工的な家に住まない事、
この3点に集約されると思います。
しかし、地球に最善の暮らしは、文明社会に生きる人間にとって、到底不可能な事です。
人間は、他の動植物の犠牲なくして生きる事が出来ない以上、如何に生活するかは、個人の選択として出来る事を自身でする事こそ最良ではないでしょうか?

毛皮の活用は、地球環境に良いのでしょうか?

1.資源の“持続可能な有効利用”を実現しています

a)絶滅のおそれのある野生動物は、国際条約・国内法が保護
絶滅のおそれのある野生動物は、国際間の取り決めである「ワシントン条約」や国内法「種の保存法」によって守られています。
そのため、これらの種が国内で販売されることはありませんし、おみやげ物として海外から持ち込むことも許されていません。 ただし、この条約が適用される前に国内に輸入されたものは、その旨の証明書があれば、販売は可能です。


b)地球環境保全のために、生態系のバランスを保つ
最近、鹿や猪が異常に繁殖して、農作物を食い荒らすなどという報道が目立ちます。
地球の都市化や農場化が野生動物の生息地を狭め、その結果、動物達はえさを食べ尽くしたり、病気で絶滅したりしています。クマなど、種によっては人間や家畜を襲うものすらでてきました。
地球上のすべての動植物は、食物連鎖の形でバランスを保っているので、ひとつの種が増えすぎれば、そのまわりにいるすべての種が多大な影響を受けることになります。
だからこそ、生態系のバランスを保つためには、人間の英知による管理(=間引き)が必要です。
そしてそれが、真の自然保護にもつながるのです。適正に捕獲された野生動物を、自然の恩恵として上手に活用すること、これが「自然資源の保持・持続可能な有効利用」といわれるものです。
私たちが活用している毛皮という素材は、こうした‘自然が人類に与えた恵み’なのです。


c)養殖動物の活用について
人間は、天然資源を枯渇させないために、自然の産物を人工的に生産する方法を産み出しました。
それが養殖技術です。いまでは、家畜のウシやブタ、生簀(いけす)で飼われるハマチやウナギなど、あらゆるものが人の手によって産み出されています。毛皮もそのうちのひとつです。
また、毛皮養殖は、北欧や東欧など、気候条件の厳しい地域に適した重要な産業となっています。
養殖にあたっては、動物福祉を最優先し、国際・国内・地方等の法を遵守しています。
また、与える食物には、本来ならば捨ててしまう人間の消費に供されない肉産業の動物副産物を効率的に使用し、食物リサイクルを支えています。
排出物は有機的な肥料を、ミンクは、皮革製品のお手入れをはじめ、スキンケア・ヘアケア用の上質なオイルを供給しています。


2.“もったいない”を実践しています

毛皮の活用にあたっては、無駄に使うことはなく、捨てるところはないと言っても過言ではありません。
小さなパーツは、剥ぎ合わせて布状の毛皮の生地(毛皮用語では、プレートと呼びます)に仕立て直します。(下記写真参照) 
また、しっぽや足まで、キーホルダーやアクセサリー等に加工し活用しています。
製品になっても、同じ種類の皮を継ぎ足したり、他の素材を加えたりするサイズ直しのリフォームをはじめ、コートをストールやバッグ等全く別のアイテムに仕上げることもできます。
‘無駄なく使い切ること’ができるのが、毛皮です。

プレート

真の動物愛護について

1.動物権利、動物解放団体の主張

あらゆる動物、すべての動物が人間とまったく同じ権利を持つというのが、動物権利団体の主張です。人も犬もネズミもブタも同じ権利を持っているというのです。
一方、動物解放団体は、すべての動物は解放されねばならないと主張します。牛豚鶏を小屋にいれて飼うのはもちろんのこと、水族館や動物園の動物も、更にはペットとしての犬猫すら虐待とみなします。これらの団体がマクドナルドやケンタッキーのお店をおそったり、大学や研究所の貴重なデーターを破壊したりしています。獣医学部長を襲撃したり、ミンクやフォックスの農場に押し入って、養殖動物を逃したりするのも彼らです。 クマや狼が農作物を荒らしたり、人間を襲っても、それでもかわいそうだといって黙って見過ごせますか?動物愛護を主張して、育ち盛り食べ盛りの子供にお肉やミルクを与えず、錠剤や化学合成物質だけで育てられますか? 真の動物愛護とは、人間が地球の環境を守りつつ、動物と共存していくことではないでしょうか?


2. 多様な意見・考え方が共存する世界は健全です

動物権利・愛護の立場から、皮・毛皮の製品(ベルト、靴、バッグ、コート等々)やシルク製品さえも持たない主義の方々がいらっしゃる事は存じています。
どの様な事にも主義・主張・意見を持ち、自分を律するのは、とても立派な事だと思います。多様な意見・考え方が共存する世界は健全であると言えましょう。
しかし、主義・主張・意見は法律ではないのですから、他人に強要は出来ません。すなわち、異なる考え方、意見を持つ人が在る事を認める事です。


3.人間は、他の動植物の犠牲なくして生きる事が出来ません

人間は、他の動植物の犠牲なくして生きる事が出来ません。大切なことは‘生命あるものを犠牲にしている’という点を忘れないことです。
作り手にとっても、またそれを使用する立場の人にとっても、‘ムダなく使う、大切に扱う’といった心があってはじめて許されるのだといえます。

なぜ毛皮を使うのか?

1.選択の自由、活用の権利

“ふわふわ”とした毛皮の感触、その優しい温もりは人の心を和ませる‘ヒーリング(癒し)’の効果があるといえます。超高齢化社会を迎えた今世紀に、身も心も温めてくれる毛皮は、その良さがいっそう認められていくでしょう。
日々の生活のなかで、毛皮を活用したいと思ってくださる方がいるのなら、その人の‘選択の自由・活用の権利’は誰にも奪うことはできないはずです。


2.伝統産業を次世代に継承する

毛皮はステイタスシンボルから、生活のなかで楽しむファッション衣料素材として、そして最近ではアクセサリー、バッグやインテリアなどその用途は多様性に富んでいます。これは、天然の風合いや機能性、耐久性といった特性を、多くの人々が認めたからです。毛皮にたずさわる私たちは、伝統あるこの生活文化産業を「持続可能な利用」を守りつつ、誇りをもって後世に伝えていきたいと考えます。