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JAPAN FUR ASSOCIATION 一般社団法人 日本毛皮協会 公式サイト

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JFAファーデザインコンテスト2022
最終審査会・表彰式レポート

 

テーマは、サステナブルライフ。今回より新たな取り組みをスタート

 今年で第2期21回目を迎えた、ファーの祭典「JFAファーデザインコンテスト」。今回のテーマは「サステナブル ライフ」、サブテーマは「活かそう自然からの贈り物」でした。当協会では、冬の寒さに対し毛皮の着用・使用によってエネルギー消費の削減に役立てると共に、文化としてのファッションに毛皮が使われることをプロモートし、子孫に「きれいで豊かな地球」を残せるよう、その特性を活かした作品を募集いたしました。
また、今回は旧来のガーメント部門に加え、新たに小物部門を募集し、毛皮の多角的活用の一つとして、身近な品物のアイデアを募集しました。
全国より集まったデザイン画は、ガーメント部門3,252点、小物部門37点とガーメント部門は過去最多の応募があり、「サステナブル ライフ」に対する興味・関心の高さが伺えました。
当コンテストは、最高品質のリアルファーを素材として開催される、国内唯一の毛皮デザインコンテストであり、長い歴史を誇っています。これまでと同様に、主催者の日本毛皮協会(JFA)に加盟する各メーカーと連携し、学生や若い才能を持ったデザイナーたちへの支援を行なっていく一方で、循環型経済への貢献や伝統あるナチュラルファーの歴史を次世代へと繋いでいく取り組みも積極的に行っています。今年度は旧来のファッションショー形式から、デザイナーのプレゼンテーションにおいて、審査員と身近にセッションできるよう関係者のみの最終審査会といたしました。新たな試みとして、WEB投票を開設。これは、一般の方からの評価をいただくと同時に、より多くの方に毛皮が持つ素材感や特性を活かしながら、ファッションを通してより豊かで快適な社会の実現に向けた取り組みに関心を持っていただきたいという想いからです。

ファイナリストが集結!それぞれの想いを語った最終審査会

 ファイナリストに選ばれたのは、ガーメント部門5名、小物部門3名。熾烈な予選を勝ち抜いたデザイナーが作品に込めた想いをそれぞれ審査員の前でアピールしました。
シーンの第一線で活躍する人気デザイナー、著名なジャーナリストによる審査員陣がデザイナー達の発信に耳を傾け、その都度作品のコンセプトを問いかけました。今年度も例年同様、審査基準は“表現力”、”オリジナリティ“、”将来性“の3点を軸に、「サステナブル ライフ」というコンセプトから、その思いがどこまで形になって表れているかを総合的に判断しました。プレゼンテーションの後、別室にて、審査員が実際の作品に触れ、作品の完成度等も評価に加えました。
個性があふれる作品の中で、最終的に栄えあるガーメント部門グランプリに輝いたのは、大阪モード学園の中津亜佳音さんでした。様々な着こなしができるしリアルに使えるという点でも、各審査委員より絶賛の評価が贈られました。また、新設された小物部門は、東京モード学園の江原聖夏さんがグランプリに輝きました。こちらも審査員より、可愛らしくオリジナリティに溢れる作品であると高評価を受けました。デザイナーのテーマ解釈と新奇さとが、それぞれの賞に反映されたコンテストとなりました。

 これからも、日本毛皮協会(JFA)では、参加者のデザインとそのコンセプトを尊重し、その具現化に向けて、協力会社の経験と技術を惜しみなく提供しサポートいたします。それにより、メーカー各社のスタッフとのコミュニケーションや技術の伝承も生まれ、毛皮の素晴らしさを世の中に伝える共通目的の下、毛皮素材に親しんでもらいながら、専業メーカーと参加者との貴重な出会いの場、更には将来の有力デザイナーを育成する環境をつくっていく事に取り組んでまいります。

審査員の各コメント

【村上要 WWDJAPAN編集長】

 皆様お疲れ様でした。最近海外や国内のコレクションを見ていると、自分のアイデアを「どうだ!」と一方的に提示するよりも、「私はこう考えているのですが、どうでしょう?」と問い掛ける方が共感を得やすいんだなと感じます。その意味で優秀な作品からは、面白いアイデアを自信満々に誇るというより、「こう思うんです、どうでしょう?」と問い掛ける姿勢を感じました。職人達と一緒に作品を制作する当コンテストでは尚更ですが、サステナビリティのような社会的価値観に向き合うコレクションを生み出すには「どう思いますか?」と問い掛け続けるモノづくりが重要です。毛皮職人と協議を重ねる中で更にブラッシュアップできた過程を感じることができました。そんなプロセスこそが、「社会の中のファッション」を生み出す唯一の道なんだと思います。デザイナーの皆様には、自分のアイデアは大事に、でも問い掛ける姿勢も忘れずにクリエーションを続けて頂けたらとても嬉しいです。

【廣川玉枝 デザイナー】

 受賞された皆さん、おめでとうございます。毛皮は、毛並みや嵩高性があったりと、取り扱いが難しい素材だと思いますが、今回のように普段毛皮を扱い慣れているプロの職人の方々と一緒になって形に出来たことは、皆さんにとって素晴らしい経験だったと思います。
毛皮という素材は、どうしても重さが気になりますが、今回皆さんがなるべく軽く仕上げることに心配りをされていたことは、すごく良い点だと思いました。フォルムの出し方や加工方法等で様々な創意工夫を積み重ねて、人が着るときの快適性が良く考えられていたと思います。
グランプリの中津さんの作品はコンセプトを服に落とし込んでよく形に出来ていましたし、実際に街でも幅広い人が着る事が出来るアイテムだと感じました。 今回のような貴重な機会を今後に発展させて、これからの皆さん御自身のもの作りに活かして頂ければと思います。

【中島英恵(ファッションディレクター/コンサルタント)】 

 最終審査に残った皆様、そして受賞された皆様、おめでとうございます。
今回、多くの応募デザイン画の中から選ばれて、実際に貴重な素材を使って作品を制作するという、得難い機会だったと思います。絵型で見た時と実際の作品となって見た時とで、更なるエネルギーを感じたコレクションがとても多かったです。審査の基準である表現力、オリジナリティ、将来性という各部分で、今回は非常に納得のいく審査結果になったと思います。特にグランプリ作品は、色々と着回しが効いてリアルに使えるところと、アレンジが出来て更に楽しめるスタイルを提案出来るという点で、本当に素晴らしかったと思います。優秀賞作品は、素材もコンセプトも然りですが、リアリティと発想の豊かさ、そしてトータルバランスが良かったので高い点で投票させて頂きました。今後もこの素材を活かすことや、素材にパワーがあるのでデザインとリアリティとの両立をさせるのはなかなか難しいところではありますが、折角のこの機会をこれからのデザインに活かして頂ければと思います。皆様の今後の活躍を楽しみにしております。

最終審査会と表彰式の様子

◇最終審査会・表彰式

2022年11月29日(火)東京証券会館

◇主催

一般社団法人日本毛皮協会

◇後援

経済産業省

◇協力

国際毛皮連盟(IFF)、サガ・ファー、香港毛皮業協会(HKFF)、東京毛皮商工業協同組合(※順不同)

◇各賞受賞者(敬称略)

<ガーメント部門>

●グランプリ:中津亜佳音(大阪モード学園) 賞状、賞金50万円

●優秀賞:松井基拡(名古屋モード学園)賞状、賞金20万円

●サガファー賞:岡本泰成(一般)賞状、賞金10万円

●HKFF賞:山田美月(名古屋モード学園)賞状、賞金5万円

●審査員特別賞:王柏松(大阪モード学園)賞状、賞金5万円

●投票大賞:松井基拡(名古屋モード学園)賞状、賞金3万円

<小物部門>

●グランプリ: 江原聖夏  (東京モード学園) 賞状、賞金5万円

●投票大賞:  江原聖夏  (東京モード学園) 賞状、賞金1万円

◇入賞者(順不同敬称略)

<ガーメント部門> 賞状

廣田静流 (大阪モード学園)

信岡安珠実 (大阪モード学園)

眞谷優花 (大阪モード学園)

東谷百花  (大阪モード学園)

岡本愛華 (大阪モード学園)

上野真実  (名古屋モード学園)

加藤文音 (名古屋モード学園)

鳥山理央  (名古屋モード学園)

佐藤沙也加(名古屋モード学園)

葛山咲貴  (名古屋モード学園)

茶谷愛理沙(名古屋モード学園)

<小物部門> 賞状

澤村真知 (東京モード学園)

佐々木怜喜(名古屋ファッション専門学校)

◇審査委員

村上要(WWDJAPAN編集長)、廣川玉枝(デザイナー)、中島英恵(ファッションディレクター/コンサルタント) (※順不同敬称略)