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JAPAN FUR ASSOCIATION 一般社団法人 日本毛皮協会 公式サイト

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JFAファーデザインコンテスト2013最終審査会・表彰式レポート

「JFAファーデザインコンテスト2013」の受賞作品と受賞者

世界レベルのクリエイターが巣立つ場に

感性豊かなデザイナーの育成と発掘、また毛皮協会各社の技術向上と豊かな才能との出会いを目的に、毎年開催しているファーデザインコンテストは今回で12回目を迎えました。かねてより JFA では服飾専門学校などにおいて、毛皮の正確な知識習得のためのセミナーを実施していますが、このコンテストはセミナーで得た知識を生かす場にもなっています。
回を重ねるごとに応募作品・受賞作品のレベルは確実にアップしてきており、このコンテスト自体が世界レベルのクリエイターが巣立つステージとして成長してきているといっていいでしょう。
今回は、作品製作のために協賛の海外2団体より原皮が提供されました。アメリカン・レジェンドよりブラックグラマとパロミノの2種のカラーミンク、ノースアメリカンファーオークションズ(NAFA)よりコヨーテ、ラクーン、グレイフォックスと黒に染めたビーバーの野生の毛皮。これらがどのように使われたのかも、楽しみなところです。

グランプリを受賞した大橋聖平さん(右)

テーマは「癒しとあたたかさ…毛皮と暮らす」

寒い冬には毛皮の着用によってエネルギー消費の削減に役立て、文化としてのファッションに毛皮が使われることをプロモートする JFA では、このファーデザインコンテストにおいて、未来に「きれいで豊かな地球」を残せるよう、その特性を生かした作品を募集してきました。
今回のテーマは「癒しとあたたかさ…毛皮と暮らす」。毛皮のふわふわした柔らかな感触と温もり、心地よさや安心感を最大限に表現してくれるクリエイティブな作品を求めて募集したところ、16歳から56歳までの幅広い層から総数2038作品の応募がありました。その中からデザイン画による一次審査を通過した20作品が、この日ファッションショー形式の最終審査に臨みます。ファイナリストたちの作品が次々にステージに登場し、審査員たちがひとつひとつ採点していきます。
すべての作品が紹介されると、続いて「第9回ファーオブザイヤー」授賞式を開催。受賞者の菊川怜さんが賞品のミンクコートをまとってステージに現われると、会場はひときわ明るい雰囲気に。この華やかな授賞式の間、バックステージでは5人の審査委員たちが厳正な審査を行っていました。
そして、いよいよ最終選考の審査発表と表彰式です。いずれ劣らぬ秀作が出揃ったコンテストで見事グランプリに輝いたのは、昨年から2年連続で最終選考に残った大橋さん。1年前の悔しさをバネに努力を続けリベンジを果たした大橋さんに、会場から惜しみない称賛の拍手が贈られ、表彰式は幕を下ろしました。

会場で審査に当たる審査委員の皆さん

審査員評

田居克人さん

先日、毛皮産業が非常に盛んなカナダを訪れ、現地の最新の状況を見てきたところですが、日本でもこういったコンテストで新しいデザインが生まれ、とても素晴らしいと思います。グランプリ作品はトレンドもおさえ、技術的にも優れていて総合的に非常に素晴らしい。これからも頑張ってほしいです。

アキラナカさん

コンペの作品では、服が強くなりすぎて、着ている女性が隠れてしまうことがよくあります。ところが今回のコンテストでは服がしっかり女性を美しくしている、女性と寄り添っていたと感じました。やはり服はまとう人を美しくするものなので、これからもそれを心に留めて、さらにデザインを追求していってください。

廣川玉枝さん

今回は素材をいろいろ組み合わせるなど、ユニークな使い方をした作品が多いという印象でした。このコンテストの良いところは、企業とコラボして自分の作品が作れる点、受賞された方は国際的な研修に参加できもっとファーのことを勉強できるという点です。みなさん研修旅行でさらに成長して、素晴らしいデザイナーになっていくことを期待しています。

原由美子さん

協力会社の方々が経験を重ねたことで、だんだんいいものができる体制になっていたので、それが素晴らしいと思います。審査員として私たちなりに悩んで選んできた作品が今日この壇上に上がっていて、入賞作品はいずれも作品としての完成度が高いといえます。特にグランプリの作品はあらゆる面で細かい配慮と完成度の高さが伺われます。

小西良幸さん(総評)

今回はいままでで一番バラエティーに富んでいたように思います。見たことのない毛皮の使い方、僕ではこの発想はできないな、と思わせてくれる作品を見ることができてすごく良かった。やっぱり21世紀なんだなと感じました。保守的なものもあれば未来的なものもあり、さまざまなものが混沌としていて、いまちょうど手探りで新しい価値観を見出そうとしている状況なのだろうと思います。
今後、こういうコンテストに際して、与えられたテーマを明確に頭に置いて、それに向かってやる必要があると思います。とくにこのコンテストは制作会社とのコラボレーションなので、デザイナーはよほどの理念とコンセプトとイメージをもって臨んでいかないと伝わらない。今回成功したのは、そういったことがきちっと伝わった作品なのではないでしょうか。

◇最終審査会・表彰式

2013年11月28日(木)13:00~15:00 東京・東銀座 時事通信ホール

◇主催

一般社団法人 日本毛皮協会(JFA)

◇後援

経済産業省、カナダ大使館、デンマーク大使館 ※順不同

◇協力

国際毛皮連盟、サガ・ファー、アメリカン・レジェンド、ノースアメリカンファーオークションズ、コペンハーゲンファー、香港毛皮業協会、東京毛皮商工業協同組合

◇各賞受賞者

●グランプリ:大橋 聖平 (大阪文化服装学院) 
賞状、賞金50万円、副賞(サガデザインセンター研修旅行&2014香港インターナショナルファー&ファッションフェア招待)

●サガ・ファー賞:ヴェセロヴァ ビクトリア (文化ファッション大学院大学) 
賞状、賞金10万円、副賞(サガデザインセンター研修旅行

●アメリカン・レジェンド賞:鈴木 菜々 (杉野服飾大学)
賞状、賞金10万円、賞品

●NAFA賞:加藤 沙江子 (愛知文化服装専門学校)
賞状、賞金10万円、副賞(スタジオNAFA研修旅行)

●コペンハーゲン・ファー賞:原 奈美 (中部ファッション専門学校)
賞状、賞金10万円、副賞(コペンハーゲンスタジオ研修旅行)

●HKFF賞:木村 知世 (一般)
賞状、賞金5万円、副賞(2014香港インターナショナルファー&ファッションフェア招待)

◇審査委員

小西 良幸、原 由美子、廣川 玉枝、アキラナカ、田居 克人 ※順不同・敬称略