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JAPAN FUR ASSOCIATION 一般社団法人 日本毛皮協会 公式サイト

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JFAファーデザインコンテスト2012最終審査会・表彰式レポート

「JFAファーデザインコンテスト2012」の受賞作品と受賞者

国際的にみてもレベルの高いコンテストに成長

自然が人類に与えてくれた贈り物である毛皮が、文化としてのファッションに使われることをプロモートするとともに、子孫に「きれいで豊かな地球」を残すことを積極的にアピールしている JFA では、2003年より「ファー・デザイン・コンテスト」を開催しています。今回で11回目を迎えました。JFA ではかねてより毛皮の正確な知識の習得を目的とする「素材加工セミナー」を服飾専門学校などで実施しており、「ファー・デザイン・コンテスト」はそのセミナーで習得した知識を具現化する機会でもあります。回を重ねるごとにレベルもアップし、2005年と2010年にはこのコンテストのグランプリ作品が、国際毛皮デザインコンペティションでゴールドプライズ、ブロンズプライズを受賞するなど、世界的にみてもレベルの高いコンテストとして成長してきています。今回は新たに「ノース・アメリカン・ファー・オークションズ(NAFA)」、「コペンハーゲン・ファー」の2団体が海外からの協力団体として参加、賞も新設されました。

グランプリを受賞した高橋夏生さん(右)

テーマは「美触感~ふわふわファー~」、応募総数2153点の激戦

コンテストは2部門で開催。今回のデザイン画の応募総数は2153点。「ファッション雑貨部門」の入賞7作品は会場ロビーに展示され、自由に観賞することができます。靴やバッグのほか今回は傘まで登場、斬新なアイデアの数々に来場者たちの関心も高かったようです。そしてデザイン画による一次審査で選ばれた「ウェア部門」の入選20作品は、デザイナーと JFA 加盟各社の協力によって制作され、ファッションショー形式の最終審査会で初披露されました。最終選考に残っただけあって20作品はいずれも秀作揃い。審査員たちの厳しい目が光る中、華やかなショーが繰り広げられました。ショーが終わると、ステージでは引き続き「第8回ファー・オブ・ザ・イヤー」の表彰式が行われました。今年の受賞者はモデルでアーティストとしてもご活躍の土屋アンナさん。賞品のパステルミンクのコートは、ご自身とスタイリストのご主人と二人でデザインされたものです。コンテストの審査員でもあるドン小西さんがステージに上がって土屋さんにインタビュー。軽妙なトークで会場を沸かせました。しばらくの休憩ののちに、いよいよ最終審査結果の発表です(結果は右欄のとおり)。緊張感あふれる会場で各賞が次々に発表されると、受賞者たちは壇上に上がりその場で表彰。どの受賞者からも、喜びの声とともに協力してくれた周囲の人たちへの感謝の言葉が聞かれました。

会場で審査に当たる審査委員の皆さん

審査員評

田居克人さん

雑誌「マリクレール」の編集長を務めていますが、その立場から正直にグランプリ作品に高得点をつけさせていただきました。どちらかというとあまり着る機会のないファーに巻きスカートやパンツなどのトレンドを取り入れた、今の時代にマッチした作品。ファーが身近になるよう、うまくデザインされていたと思います。

アキラナカさん

ファッションというのは時代を映し出すものです。新しさとリアリティの 両立、バランスが大切です。これからデザイナーになる若い人たちの理解と発想力で、あまり馴染みのないファーを通して新しさとリアリティを伝えてほしい。ここからさらに飛躍してください。

廣川玉枝さん

受賞作はもちろん、選にもれた作品も含めユニークなアイデアがたくさん見られ、とても楽しい審査会でした。グラフィカルで、ファーの既存のイメージとは違う新しさがあり、ちゃんと着ることも考えてデザインされています。この経験を生かしてこれからも 楽しい作品を作っていってください。

原由美子さん

最終審査会で選ばれなかった作品も、今日の最終審査会に残った作品はさすがに2000点以上から選ばれただけのことはある、素晴らしい作品ばかりでした。今回は色づかいが上手なものが多く、ドレスのようなものなど、防寒着だけでなかったのがよかったです。スタイリングに現実感があり、若い人が普段のファッションに取り入れたいと思うのではないでしょうか。

小西良幸さん(総評)

このコンテストの審査はもう数回やらせていただいていますが、今回ほど「変わったな」と思ったことはなかったです。毛皮は高くて加工も大変で、なかなか新しい切り口が見つかっていなかった。それがこんなにきれいなシルエットになるんですね。見るからに毛皮のメリットを生かしたという作品は今回は壇上に上がっていません。今日のコンテストを見ていると時は刻々と過ぎているのだと実感し、若いデザイナーがどんどん力をつけてきているのを目の当たりにして、我々もぼやぼやしていられないなと刺激になりました。若いデザイナーが職人たちとコラボレーションするのも、このコンテストの特徴であり、コミュニケーションを学ぶ上でとてもいい経験ができると思います。
来年からの若い人たちの可能性にも期待しています。

◇最終審査会・表彰式

2012年11月15日(木)13:00~15:00 東京・東銀座 時事通信ホール

◇主催

一般社団法人 日本毛皮協会(JFA)

◇後援

経済産業省、カナダ大使館、デンマーク大使館 ※順不同

◇協力

国際毛皮連盟、サガ・ファー、アメリカン・レジェンド、ノースアメリカンファーオークションズ、コペンハーゲンファー、香港毛皮業協会、東京毛皮商工業協同組合

◇各賞受賞者

●グランプリ:高橋 夏生 (中部ファッション専門学校) 
賞状、賞金50万円、副賞(デンマーク「サガ・デザイン・センター(SDC)」研修旅行)

●サガ・ファー賞:加藤 雪子 (一般) 
賞状、賞金10万円、副賞(デンマーク「サガ・デザイン・センター(SDC)」研修旅行)

●アメリカン・レジェンド賞:金子 真弓 (大阪モード学園)
賞状、賞金10万円、賞品(ブラックグラマケープ)

●NAFA賞:山本 恵里子 (杉野学園ドレスメーカー学院)
賞状、賞金10万円、副賞(カナダ「スタジオNAFA」研修旅行)

●コペンハーゲン・ファー賞:岩澤 杏奈 (金城学院大学)
 賞状、賞金10万円、副賞(デンマーク「コペンハーゲンスタジオ」研修旅行)

●HKFF賞:土屋 慎治 (東京モード学園)
賞状、賞金5万円、副賞(2013 香港インターナショナルファー&ファッションフェア招待)

●ファッション雑貨:
宮澤 廣亨(東京モード学園)
 河合 玖音(岐阜県立大垣桜高等学校)
 小島 雄佑(東京モード学園)
 伊藤 麻衣子(名古屋モード学園)
 李 志成(大阪モード学園)
 武田 明日香(宮城文化服装専門学校)  箕浦 香奈(総合学園ヒューマンアカデミー名古屋校)
賞状、賞金5万円

◇審査委員

小西 良幸、原 由美子、廣川 玉枝、アキラナカ、田居 克人 ※順不同・敬称略