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JAPAN FUR ASSOCIATION 一般社団法人 日本毛皮協会 公式サイト

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JFAファーデザインコンテスト2010-2011最終審査会・表彰式レポート

「JFAファーデザインコンテスト2010-2011」の受賞作品と受賞者

昨年までとは異なるテーマ 「毛皮・・・感じる素材」

毛皮という素晴らしい素材を通して、ファッションをより活力のあるものにすることを目的に実施している「JFA ファーデザインコンテスト」。 9回目となる今回のテーマは「毛皮・・・感じる素材」。環境保全や天然素材としての魅力を強く打ち出してきたここ数年のテーマに比べると、やや抽象的な印象になっており、それだけにデザイナーがどう解釈し、どのようなデザインを発案してくれるかが楽しみなところだ。夏に応募をスタート、9月10日の締切までに寄せられた2118点のデザイン画のなかから、9月17日の第一次審査でまず20作品を選出。最終審査に残ったその20作品のデザイナーたちは、およそ2カ月間という短い期間で、製作協力各社と試行錯誤しながら作品を完成させなければならない。こうして生まれた作品の数々が、この日ファッションショー形式の最終審査会で初披露された。いずれ劣らぬ力作が次々と登場し、満員の観客席からは各作品に惜しみない拍手が送られた。

グランプリを受賞した羅醒庭さん(右) 

斬新なアイデアと高度な技術 力作揃いで審査員泣かせ

デザイナーの創造力と協力各社の技術力が見事にコラボレートした素晴らしい作品の数々を見ると、このコンテストが回を重ねるごとにレベルアップしていることが実感できる。「天然素材である毛皮を、エネルギー消費削減につながる防寒素材として、ファッション性を高めてアピールする」というコンセプト通り、どの作品もそれぞれに、防寒性とファッション性の側面から工夫が凝らさていた。最終審査に残った作品の完成度の高さに、今年も審査委員は採点に大いに頭を悩ませていたようだ。ショーが終了し、審査員が別室で最終審査を行っている間、「第6回ファーオブザイヤー」授賞式が開催され、受賞者の米倉涼子さんが登場。彼女のエレガントなファーの着こなしに、会場は一気に華やいだ雰囲気に包まれた。そして、いよいよ結果発表。受賞者は口々に恩師や協力各社への感謝の言葉を述べ、喜びの笑顔が広がる。見事グランプリに選ばれた羅さんが、感極まって涙するシーンも。観客も思わずもらい泣きしてしまうような、感動的な授賞式となった。 

会場で審査に当たる審査委員の皆さん

審査員評

大塚陽子

最終選考に残った20作品はどれも素晴らしく、今回もかなりレベルの高いコンテストでした。惜しくも受賞できなかった作品の多くは、デザイン画を超えられない作品になってしまっていたと思います。デザイナーがもっと協力会社の方々とコミュニケーションを重ねるとよかったのではないでしょうか。これからも頑張ってください。

原由美子

このコンテストでは、色や細かいディテールなど、昔は毛皮では考えられなかったような加工が、難しい技術を使うことによって実現しています。一方で毛皮らしさ、見た目の温かさを大切にしたデザインも求められますが、今回はその両方がバランスよく出てきたと思いました。全体的にレベルが高く、点数をつけるのはとても苦労しました。

廣川玉枝

限られた素材で自分がイメージするアイデアを表現するのに苦労されたことでしょう。毛皮というのはすごく重くなりがちな素材なのですが、全体的に見て軽く仕上がっている作品が多かったと思います。受賞作品は、毛皮の良さを活かしながらも、新しいフォルムやテクスチャーなどで新鮮さを感じることができたことが評価されました。

CABARET AKI

受賞した作品としなかった作品の差は僅差ですが、その中で何が一番違うかというとシルエットだと思う。デザイン画ではウェストがキュっとしぼられているのに、毛足の長いファーを使ったりするとウェストがもったりしてしまったり。賞を取られた作品は逆にファーならではのボリューム感がよかった。本当にちょっとした違いなんです。

岩谷俊和

僕はとにかくグランプリの作品が好きです。全体のボリュームと丈のバランス、配色、コーディネートにいたるまでパーフェクトですね。

小西良幸(総評)

このコンテストのコンセプトにあるように、ファー・デザインには「エネルギー消費の削減=冬の寒さをしのぐという毛皮本来の目的」と「文化としてのファッション性」の両方が求められます。今回選ばれた作品は、その両方のバランスが取れていた。審査を通してデザイナー本来の役割を考えたとき、天然素材を上手に使うということも大切ですが、やっぱりデザインで人の心を動かすとか、そういう「デザイン力」がとても大切です。その意味で今日のコンテストは非常に素晴らしかったと思います。
また、このコンテストの特徴は製作会社と若いデザイナーのコラボレーションです。デザイナーと製作会社がお互いの表現力、技術、知識をもっともっと密に伝え合うことで、さらに素晴らしい作品が出てくるのではないでしょうか。

◇最終審査会・表彰式

2010年11月18日(木)13:00~15:00 東京・東銀座 時事通信ホール

◇主催

一般社団法人 日本毛皮協会(JFA)

◇後援

農林水産省/経済産業省

◇協力

アメリカン・レジェンド、サガ・ファー、国際毛皮連盟、香港毛皮業協会、東京ファッションデザイナー協議会、東京毛皮商工業協同組合

◇各賞受賞者

●グランプリ:羅 醒庭 (織田ファッション専門学校) 
賞状、賞金50万円、副賞(デンマーク「サガ・デザイン・センター(SDC)」への研修旅行)

●準グランプリ:久保原 侑也 (バンタンデザイン研究所) 
賞状、賞金20万円、副賞(デンマーク「サガ・デザイン・センター(SDC)」への研修旅行)

●アメリカン・レジェンド賞:犬飼 あつき (中部ファッション専門学校)
 賞状、賞金10万円

●サガ賞:吉田 恵三 (名古屋モード学園) 
 賞状、賞金10万円

●HKFF賞:林 利行 (一般)
 賞状、賞金5万円及び香港インターナショナルファー&ファッションフェア招待

●JFA賞:古城 基輝 (エスモード・ジャポン東京校)
 賞状、賞品

◇審査委員

小西良幸(委員長・デザイナー)、岩谷俊和(デザイナー)、廣川玉枝(デザイナー)、原由美子(ファッションディレクター)、大塚陽子(ファッションジャーナリスト)※順不同・敬称略